焦燥の果てに

あなたは眉毛を剃りすぎた事はあるだろうか?

 

 

 

私はある。

 

 

 

「独奏者、独唱者」を意味するフランス語"soliste"ならぬ"剃りスト"である。

 

 

 

ある日、所用で証明写真が必要になり「カッコいい顔で撮りたい」という願望から、まずは眉毛を整える事にした。

 

 

 

そこで、イメージしたのは嵐の松本潤さん。

彼のような男らしく且つ凛々しい眉毛にしたくて、私はおもむろに洗面台の鏡の前に立ち、「いざ!」と言い、眉毛カッターを構えた。

 


満を持して「剃り」に臨んだ矢先、美しく整った完成系の眉毛、さらには松潤をも超える自らの圧倒的な美貌を想像してしまい、あまりにも興奮して手元が狂い

 

 

 

「ジョリッ」

 

 

 

1やらかし。左右の長さがアンバランスになってしまい、シンメトリーになるようにまた反対側を整える。

 

 

 

そしてもう一度

 

 

 

「ジョリッ」

 

 

 

2やらかし。みるみる内に短くなっていく眉毛とバケモノと化していく顔面。

 


どうやら手元だけでなく頭も狂ってしまったようだ。ここで一度、高い奇声を発して洗面台をあとにした。

 

 

 

撮った証明写真は一生馬鹿にされ、笑われるものとなった。

 

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おわり